どうなってるのやら

あゆぽっぽ。あゆぽっぽ牛乳。

(※題名未設定)

 psuのことなど忘れてしまう前に、電源容量2.0倍教が超まゆつばな理由を書いておきます:

 

(1) 「???w電源」の「???w」は、DC outputである

 psuは交流から電気を採り、直流にしてpc内部へ分配します。
 カタログ値に「550w」と書かれていれば、それは「分配できる電力が550w」といった意味であり、コンセントから採る電気の量ではありません
 開封直後の電源が正常に動くかぎり、550w分のパーツには耐えられると考えるほうが自然です。 そうじゃないと550wとは書けないと思います。

 

(2) 「???w」電源は、???w以上の出力に(ある程度)耐える

 psuの出力限界は、カタログに書かれている出力量まんまではありません。 2~3割の余裕幅を超えると安全機構が働く設定になっています

 tpu/tom'sの実測データを見るかぎり、マージン2割を切るものは少なく、マージンが1割もない品は相当めずらしい部類です。 筆者も使っているC社hx1000[2017]は、tom'sの測定だとマージン18.6%(1186wで過負荷判定)だそうですが、レビュアー担当さんは「多少コンサバな値」とコメントしています

 ユーザーの感覚として、電源のカタログ値を超える負荷で組む選択肢は考慮されません。 しかしpsu側の事情としては「550w電源」なら660w程度、「750w電源」なら900w程度まで異常検知の対象にならないのも確かです。

 

(3) パーツ側の要求電力と/選ぶ電源と/過負荷判定ライン

 上の話をふまえて、雑な例を出します:

 積むパーツの電力要求が500wだとします。
 → 1.3倍のpsuを選ぶなら650w電源です。 このとき過負荷判定ラインは780w(以上)になります。
 → 1.5倍なら750w電源です。 過負荷判定は900w(以上)です。
 → 1.8倍なら900w電源です。 過負荷トリガーは1080w超です。

 ▲この状況で、なぜ2.0倍がセオリーだの定番になるのか。 日本人は『日本語にあらぬものは情報にあらず』と信じているため、影響力の高い雑な国内サイトが2.0倍を主張するだけで当然のように納得してしまうわけです。 そして『効率の関係上カタログ値どおりの出力が出ない』と言いきるトンデモサイトがseoトップに登りつめていることもあり、なおさら電源容量の上積みを善とする新興宗教が暗黙のうちに確立される結果になります。

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 効率の関係で「カタログ上のワット数出ない」ことはありません。 経年劣化と瞬間最大出力を見すえるだけなら1.5倍で十分です。 電源装置が最高効率を誇るのは出力上限の40%なので、2.0倍より2.5倍が'ベター'ですが現実的じゃありません。 近日中に100w単位の部品増設を予定していないかぎり、1.8倍を目安にする必要なんてありません。 パーツの増設が数年後なら、そんなころにはpsu自体くたびれており電源ぐるみの買いかえ機運じゃないでしょうか。

乱心、奇特なお店

 あたまの痛い電源容量2倍教の浸透度を見ようと、雑にgoogleに「pc 電源 容量」を照会して上位サイトをながめ..るつもりでした。
 しかしseoオプティマイズに最も優れているとおぼしきパーツ屋の公式が、電源選びガイドらしきセクションで次のような話を書いておりました:

  (×) 「公称1000w, 効率80%」のpsuなら、パソコン内部に供給できる電力は800w

 ▲一応言います。 間違っています。 こんなのをレンダリング娘経由で布教するつもりなのかしりませんが、ひとまずバーチャル目まいがしそうです。

 

 ほんっとに一応ですが書きます。 pc内部のパーツが100w分の電力を要求したとします。 psuの効率がちょうど90%だとします。 その場合:

  (i)   コンセントから111.1wの電力が採られる
  (ii)  このうち10%(100-90)にあたる、11.1wが失われる
  (iii) 残った100wが、パーツに分配供給される

 △こういった仕組みになります。 100wをパーツへ流すために、「100÷0.9=111.1w」として、コンセント側から持っていかれる電力を求めることができるわけです。 効率が高い電源装置は直流変換時に失われるエネルギーが少なく、コンセントから採る電力が減ることで、電気代が多少軽減されるとも言えます。

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 これも理解されていない現状、容量1.8倍教や2.0倍教どころの話ではなさそうです。 2022年8月10日22:30[jst]現在、さきの検索条件で上位に入っているサイトを順に読み、seoエキスパートであるdospara.co.jp同様のかんちがいを発信している割合をさぐることにしました。

以下トップ25:

 [1st] dospara.co.jp パーツ販売店
  (×) 80%, 1000wなら『パソコンで使える電力は800W』

 [2nd] btopc-minikan.com 総合情報サイト?
  (-) 効率について具体的な算出例が見当たらず

 [3rd] ask-corp.jp 代理店
  (○) 変換効率が低い例として
   『例えば100Wの電力をまかなうために110W必要なところが
    同じ100W使うために140W必要になるといったことが起こります』

 [4th] pasonisan.com レビューおよび解説サイト?
  (?) 玉虫色。 効率80%として
   『コンセントから500wの入力』→『400wをpcの電力として供給できます』
    ※これを500w電源の例としているならアウト、断定できず

 [5th] psu販売元なので省略

 [6th] kakaku.com 個人情報軽視サイト
  (-) 効率について具体的な算出例が見当たらず

 [7th] nunogameblog.com 雑サイト
  (×) 90%, 850w電源なら『765Wの電力が使えることになります』

 [8th] psu販売元なので省略

 [9th] gamingpcs.jp 雑サイト
  (×) 82%, 500w電源なら『100%負荷として410Wの変換になる』

 [10th] subcash.info 雑サイト
  (-) 効率について具体的な算出例が見当たらず

 [11th] choke-point.com 雑サイト
  (×) 82%, 500w電源なら『PCパーツに供給できる最大電力は410W程度』

 [12th] chimolog.co 個人レビュアー?
  (○) 90%にて、パーツが100wを要求する文脈で
   『電源ユニットには約110W(=100W/90%)が供給される』

 [13th] direct.pc-physics.com 雑サイト
  (-) 効率について具体的な算出例が見当たらず

 [14th] ecサイトなので省略

 [15th] probsolvingnow.com 雑サイト
  (-) 効率について具体的な算出例が見当たらず

 [16th] sakidori.co 雑サイト
  (-) 効率について具体的な算出例が見当たらず

 [17th] ネット動画プラットフォームなので省略

 [18th] pcinformation.info 雑サイト
  (○) 90%, 1400w出力なら「コンセントから得ようとする電力は1556W」

 [19th] 4900.co.jp 雑サイト
  (-) 効率について具体的な算出例が見当たらず

 [20th] game.sukecom.net 雑サイト
  (-) 効率について具体的な算出例が見当たらず

 [21st] my-best.com 雑サイト
  (-) 効率について具体的な算出例が見当たらず

 [22nd] btopcs.jp 雑サイト
  (×) silver, 最大出力500wの電源は
   『仕組み上500W全ての力を発揮することはできません』

 [23rd] pcベンダなので省略

 [24th] ecサイトなので省略

 [25th] rank-king.jp 雑サイト
  (-) 効率について具体的な算出例が見当たらず

 ▲思いのほか効率の説明へ踏みこんでいるサイトは少なく、また大手個人レビュアーchimolog.coの説明は間違っていませんでした。
 上位30点を引いても出てこなかったjisakuhibi.jpを決めうちで見にいったところ、「90%, 540w出力なら、コンセントから600w採られる」と書かれており、こちらも効率の概念に関してはドスパラ症候群には陥っていないようです。 ..2.0倍教だのgpu補助電源pigtail禁止教だの、そういった文脈を含めた上での信頼度は別ですが。。

 

 「ドスパラは情報のクオリティよりも、seoにお金をかけております」
 これにつきますね。

psu容量2.0倍教の呪い

 事情により、パソコン内部の電源装置は4年に一度買いかえています。

 かれこれ15年、「dcOutputの概算は巷の計算機を使う」「budget電源なら2倍の容量を選ぶ」「それなり以上電源なら1.5倍」としていました。 安電源的な経験則として、hecの名目700wなpsuをivyBridge/gtx1050の機体で9年回して普通に生きていた事例を見たことがあります。 1.5倍コースが正しいのかは知りませんが、outervisionでは多少のマージン(50w?)redditでは3割マシ説などを見かけたような覚えがあるので、言うほど余裕のないチョイスではないはずです。 ちなみにpcBuildingSimulatorではマージンゼロが許容されます。 興味深いです。

 ともあれ大前提として、「最大連続出力の半分で効率が最大になる。だから2.0倍が理想」説は無条件に間違っています。 なぜなら:

 (a) 現代のcpu/gpuは、ヒマしている場合の消費電力がピークの10分の1以下へ落ちる
 (b) 効率の違いで浮く電気代が、psuの価格差を乗りこえる可能性は極めて低い
 (c) 変換効率が最も最大になる点は、カタログ負荷の40%程度

 ▲といった事情があるからです。

 (a)はワットメーターでもソフトウェア読みでも簡単に観測できると思いますが、つまるところ「一定の負荷がコンスタントに続く」目的のマシンでない限り、40%だの50%だのに合わせて電源を選ぶ意味が消えてしまいます。 たとえば「これが自分の母艦pc、ゲームもレンダリングもアプリビルドにも使えてネットめぐりもしています!」的なシナリオだとdc出力が乱高下するのは明白で、ソースコード書き中やネット巡回中の消費電力なんて30%に達するとさえ思えません。 雑用兼用マシンで効率を優先するなら、むしろ10~20%以下の実測値を把握してpsuを選ぶべきです。 最大負荷を基準にする理由は薄いです。

 (b)ですが、仮に「使用電力平均100w, 8h/日, 5年使用」で計算するなら効率差10%につき電気代差1万円にしかなりません。 もし50wなら差は半減する上、このような低消費電力での効率はpsuの認定バッジ(goldとかtitaniumとか)に追従しづらい傾向?らしく、やはり『効率のために大枚はたいて大容量品/上位品を買う』理由は薄いです

 (c)については、tpu/tom'sでの実測値を見れば明らかな話です。 しかし30%/50%での効率も40%に次ぐレベルで高く、まぁ50%に合わせることで大きく効率を失う話じゃありません。

 雑多な目的で用意されたマシンに高効率電源を積む場合、電源内部での発熱量を減らす意義の方が大きいであろうと思いますpsuファンが回りにくくなるor電源自体が長持ちする?効果はあるかもしれません。

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 次に「ピークを考えると2.0倍」説はどうでしょう。 確かに現代のgpuなどは、公称消費電力を瞬間的に超えてくることがあるのもわかります。 しかし市場に存在している大半のpsuは、ocp/opp発動前マージンとして2割以上を見込んである(スーフラの一部モデルは知りません)ため、たとえば名目750wなら瞬間900wあたりまで一応耐えることになります。 dc出力要求500wのマシンに対し1.5倍量なpsu[750w]を充てると、安全機構が働く値として900w以上の環境になりますが.. これで十分ではないでしょうか。 ケチってpsu650wを選んでも、780wまではプロテクションが動かないであろうことから不安定事象が頻発するとは考えにくいです.. さきにも書いたように、現代のredditor勢は1.3倍、某皮算用は1.25~1.42倍を挙げています。

 皮算用より新しいオンライン計算機が1.5倍を最低限と設定し、1.8倍をデフォルト/おすすめとしている点は相当ミスリーディングでしょう

古代のマシンとminor railの呪い

 格安ジャンクpc部材を集めては動画のネタにする某チャンネル(※ゆっくりトークが上手で飽きない)を見ていました。 そこでは雑にsocket370moboを持ってきて、tualatin対応なmchなのかを確認せずにPentiumIII-S[1400MHz/512]を試すという雑な実験が繰り広げられていました。 けっきょく当該マザーはtualatin対応だったのですが、主さんの用意した石ではブートせずに、coppermineせろりんへ戻してもマザーは沈黙したまんま。 本当にmoboが壊れてしまったのかはともかく、動画主さんが大量のベイ埋めデバイス(fdd,odd,メモカリーダー)を並べていたので、少し電源のことを思いだしました。

 pcを恒常的に動かす以上、おそかれ早かれ壊れてしまう部材としてはpsuがあります。 むしろ壊れる前に交換を考える部品でもあり、多少なりともヴィンテージに近いマシンを走らせているなら超なおさらでしょう。 PentiumIIIベースの個体は基本的にatx革命が終わったあとの製品なので、物理的なコネクタの形状としては(24pinを20+4に分割できる限り)問題ありません。

 実際の動作可否としては、どうでしょうか。

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 これがintelベースかつPentium4以上なら割と楽勝パターンです。 なぜなら田の字コネクタが存在する以上、cpu給電を12vへ割りふる思想になっていることが明らかだからです。 そういった12v偏重規格?は現代のマシンと共通しており、つまるところ現代の電源を用意すれば期待どおりに動く可能性が高いだけです。 予算と好みで選べばよいのではないでしょうか。

 PentiumIII以下なら話が違います。 それなりの電力を持っていくcpuが5vなrailを使います。 tualatinなら多めに見積もっても40wは持っていかないと思われるため、cpuだけならマージン込で8Aを見積もればよさそうです.. ..しかし2000年のマシンを再現するかのごとく周辺装置をあれこれ積むことで、5v/3.3v両railが圧迫されることになり、現代の電源を使うとpsuが悲鳴を上げてしまうことがあるようです

 ..tualatin用に高すぎない新品のpsuを用意するとして、たとえばcorsair製cx550mなら「3.3v:20A, 5v:20A, combined:120w」です。 これらは古代の300w電源に満たない値で、mobo+cpu+ram+αくらいなら十分耐えそうに思いますがドライブベイやpciを埋めていくと120w上限が怪しくなりそうです。 なおtualatin-512は二発駆動環境[2xSocket370]で使われることがあり、この場合は純粋な5vだけでも圧迫の可能性が大きく上がるでしょう。 同じC社のhx1000[2017]でも「25A, 25A, 150w」程度なので、しょうじき極端には改善しません。 それぞれoverCurrentProtectionは30A超あたりに設定されているようですが、そんな数字ぎりぎりで使うのも間違ってる気はします.. だいたいhx1000って$200以上します。。

 リード文に書いた某ジャンク道楽チャンネルでは、tualatinシングル環境でブートに失敗したのち、coppermineへ戻しても正常に立ち上がりませんでした。 しかし使われていたpsuは決して現代の仕様ではなく、3.3v+5vで170wが確保されており、へたすればhx1000よりも余裕があります(!)。 電源容量まずかった説を掲げるには無理がありますね..

 というわけで、まとめます:

 (a) PentiumIII以前のマシンを、現代のpsuで走らせるのは3.3v/5v出力上限の点で多少鬼門
 (b) Pentium4以降は12v偏重主義が浸透しており、昨今のpsuとマッチしている

 

 

Lavie GX / 多少マシなbudgetマザーだったかも?編

 https://aypppo.hatenadiary.jp/entry/2022/07/20/122719
 ↑このエントリ..の続きです。

 青くなってしまうようなimpressレビューから数週間、気がつけばitmediaの記事が出ていましたitmediaは提灯度が低い!いや高い!などとは言いませんが、少なくとも別の手がかりが公開されたことは確かです。 この記事によれば:

 (a) itmediaの個体も、tccActivationTemp(tjmax)より低いcpu温度で推移している
 (b) itmediaの個体は、cinebenchR23による全コア負荷で16,000ptsをマーク
 (c) lavieGXには複数のcpu冷却プロファイルが載っており、デフォルトは'静音優先'
 (d) 'パフォーマンス優先'に設定した場合、同ベンチで19k程度は出るらしい

 △興味深い結果となってまいりました。 前回も参考にしたtechspotのレビューによると、longDurationPowerLimit=65wで動かしたi7-12700がmsimobo上で16k弱を記録しており、itmediaによるlavieGX既定状態はこれに負けないスコアを記録しています。 従って『65wに耐えられないvrmが足をひっぱっている』的な筆者の推定は違っていたことになります。 よかったです。

 なお当該プロセッサは、電力制限超過/cpu過熱保護/vrm過熱保護が起こらない(起こさない)条件で21,000ptsを超えることが知られています。 necのいう「19k」は多少低いですが、これは某ウルトラローエンドb660moboを使い95wにて走らせたときの数値に近く、少なくとも65wの呪縛?を有意に超えていることは確認できますね。

 この石を使い、いかなる場合も全コア4.5GHzで走らせようとすると、電力制限としては180w程度が必要になるとの話(reddit民の集団経験則)。 lavieGXに載っているそれなりのトップフロー型ファンシンクを考えると、まぁ95w相当(推測)のcpuパワーを出せるならまずまずではないでしょうか。 まずまずと言えないのは価格設定、あとはb660なのにメモリソケットが半分ランドになっている点は大幅減点です..

かな漢字変換とユーザーの分断と賢い日本語 [IV]

(d) まとめ

 atokは先に述べたように、ワープロ専用機風の超連文節変換を実用レベルに押しあげた唯一の存在です。 しかしwindows全盛時代、そんなatokも「OS標準IME」の前には苦戦を強いられます。 「さんばがさんばをおどる」などというのは格助詞検出+隣接語の係り受けさえ検出できれば一発で正解が出そうですが、そういった簡易かつ短い例がテレビCMにまで使われたことを考えると、それだけユーザー層の漢字変換スタイルが単文節寄りであったのだろうと筆者は思います。 このような状況下でatokが本領を発揮するのは、やはり長文一括変換の習慣が育ったユーザーに使われたときに限ってしまうわけです。 ひたすら文章を紡ぐ現代の入力専用機(pomera)に、atokが載っているのは妥当なベストマッチではないでしょうか。

 (i)  atokが標榜していた「賢い日本語」というのは、
 (ii) ある程度長い文を変換した際の変換精度 を指しているが、
 (iii)長文一括変換の習慣が育っていないユーザーが相当割合存在するため、
 (iv) 届かない人には届かない

かな漢字変換とユーザーの分断と賢い日本語 [III]

(c) 習慣の分断

 金塊より高い日本のHDD(当時)。 このことで、nec98全盛期に送りだされた漢字変換システムは(atok8を除き)「なにをどうやってもたかが知れてる」精度しか実現できませんでした。 茸だのvjeだのatok7だのwxだのnecdicだのnecaiだの言われても、'89年当時のワープロ専用機に比べると全て問題外だったため、あのころ日本語fepを熱く語る人を見ても筆者は首をかしげる一方でした.. ひとつ興味深かったのは、金銭コストのかかっていたワークステーション類でも長文一括変換は想定されなかった?らしく、wnnだろうとcannaだろうと二文節が実用限界だった印象があります。

 ..言葉は悪いですが、どれを使っても強気の複数文節変換には期待できないことから、パソコンの世界では1~2文節で区切りながら文章を紡ぐ手法が当然のように共有されていたはずです。 それ以上いちどに入力して変換をたたくのは自殺行為、こういった習慣のユーザーはatokを使おうと何を使おうと長い連文節変換には手を出さないでしょう。 長文一括変換とは、適切な漢字変換エンジンとニーズが同居しない限り、ユーザー側の選択肢に上ってこない手法だろうと言えます

 [c1] パソコン上がりのユーザー的に、漢字変換は1~2文節単位で進めるもの
 [c2] ワープロ専用機出身者なら、この限りではないが、筆者の経験上は希少種

 

 ※続きます

かな漢字変換とユーザーの分断と賢い日本語 [II]

(b) 用語の分断

 前項のように、ワープロ専用機の末期では長文変換効率を重視してAI変換(/用例支援)なるものが導入されました。 nec98にも渡ってきましたがフロッピーの容量に阻まれ巨大な辞書は積めず、いちどに数文節を入力しても期待通りの変換結果にならないシロモノでした。

 ..AI変換の概念を載せ、ネーミングにもAIと書かれたパソコン用漢字変換はnecai.sysだけでした。 この結果、「AI変換?ねかいsys?ぁぁバカだよね」といった五月雨悪評が醸成され、AI変換はパソコンの世界に限り印象の悪い漢字変換の代名詞となったのです

 DOS時代の末期に登場したのが、ワープロ専用機に負けない辞書を積み、専用機に近い感覚での漢字変換にも耐えられるatok8。 当時の紙カタログをさぐると、ものすごく小さい文字で申し訳程度に(AI変換)と書かれています。 ジャストシステムといえど、専用機と同じキャッチは使えなかったのですね

 [b1] パソコン上がりのユーザー的に、AI変換は「necai.sys」「バカ」を表す
 [b2] ワープロ専用機出身者的には、長文一括変換に耐えられる熟成期のフィーチャーを指す
 [b3] atok8は辞書サイズを含め、専用機で期待されるAI変換を実現した
 [b4] そんなatok8も、大きな文字ではカタログにAIと書けなかった

 

 ※続きます

かな漢字変換とユーザーの分断と賢い日本語 [I]

(*) まえがき

 machineLearningでさえAIと呼ばれる時代です。 pomeraはモデルチェンジを続けながら生き続け、「賢い日本語」atokを載せています。

 ..このへんの文脈で筆者が思いだすのは、ms-dos末期のnec98事情です。 いえ、ワープロ専用機出身の筆者から見た不思議な視点でのnec98事情です..

 necai.sysのことだけを言っているのではありません。 以下、忘れないうちに書き留めておきます。

 

(a) 長文を一括変換するニーズへの対応

 デジタル端末で日本語の文章を書きとめる方法としては、かなを打って漢字に変換する作業がついて回ります。 ここでポイントとなるのは、かなをマシンガン打ちした後、漢字まじりの文章として確定できるまでの時間が限られるケースがある/あった(であろう)ということです。 聞き取りを文字起こしする際、スピードが求められる状況かもしれません。 創作欲をリズミカルにキープするため、脳内麻薬を発行し続ける過程としてスピーディな漢字変換が必須なのかもしれません。 いずれにせよ漢字変換のトータル所要時間を減らすためには、『長い連文節を打ち→変換キーをたたき→できるだけ少ない修正で確定できる』環境が求められることになります。

 複数文節一括変換で好ましい結果を提供するためには、「文節の区切りを取り違えない」+「文節ごとの変換結果に間違いが少ない」ことが必要です。 これを実現するために、かな漢字変換の世界では(ユーザーによる)直前の確定履歴を記録し、以降の変換結果に反映するメカニズムが生まれました。 わりとベーシックな学習機能です。

 ..しかし確定履歴だけで判断する限り、同音異義語の変換精度等に限界があることは明らかです。 そこで格助詞の使用状況や直前直後に使われている単語などから、ユーザーによる確定履歴をオーバーライドして変換候補を選ぶ方式が導き出されました。 ワープロ専用機でいう末期のころだと記憶していますが、当時「AI変換」「AI支援」「AI用例」などと呼ばれており、とりあえずAIと名が付けば変換候補の選定に気をつかっている代名詞?のように扱われました。 シャープなどは同一段落に存在している単語の分布を読んで変換候補の提唱をします!とさえ謳っておりました。

 上のようなAI変換(AIなんちゃら)を想定通り動かすには、単なる変換候補以外に各語のつながりを格納しておくための補助データ?が必要です。 長文の快適な一括変換が目標なので、当然変換候補そのものも大量の語数を収録しておかなければなりません。 このためワープロ専用機は何かしらの方法で、巨大な辞書を内蔵する選択肢を採りました。 ROMに焼いているところもHDDを使うベンダもありましたが、いずれにせよコストをかけていたことは確かでしょう。

 さきに「巨大な」辞書と書いたのには、理由があります。 AIと呼ばれる変換支援は、某社の手によりnec98へ導入されることになりました。 ところが国民機系のパソコンをリーズナブルに導入すると、標準装備と思われる最大容量の記憶装置はフロッピーになってしまいます。 1250304バイトだったアレです。 辞書ファイルに許される最大容量だって1250304bytesです。 まぁ実際には数百kbytesでした。 「日本のハードディスクは金塊より高い」とは某リアムゲイツ三世の言葉だったと思いますが、この状態を作りあげたの圧倒的シェアを誇ったnec98の標準状態がHDDを欠いていたからです。 とにもかくにも、数百KBオーダーの辞書でAI変換を実現した結果はさんざんでした。 同社文豪miniではこういった傾向が見られなかった(筆者調べ/店頭実機)ことから、おそらくフロッピーの容量制限で長文に十分対応できる辞書のボリュームを確保できなかったのではないでしょうか。 日本語の表示速度を優先したコストバランス[漢字ROM有HDD無]が、めぐりめぐって日本語変換効率に影響する。 98x1しか使っていなければ気づかれにくいとは思います。

 ..後にリリースされた某社atok8は、筆者として唯一ワープロ専用機並に夢中で打てる漢字変換システムでした。 自分が見たものでは辞書サイズが2.8MBもあり、こういった経験から「necai.sysがタコなのは辞書サイズのせい」と邪推するわけです..

 [a1] ワープロ専用機の末期では、確定履歴より文脈解析を優先する漢字変換エンジンが導入された
 [a2] こういった変換エンジンには、こぞって'AI'のネーミングがついた
 [a3] AI変換/AI用例支援には、それを支える巨大な辞書が不可欠
 [a4] nec98向けのAI変換エンジンは、辞書が小さすぎて専用機風の変換効率を実現できなかった

 

 ※続きます

Lavie GX / budgetマザーの呪い編

 ..valuestarの名前もすてて全lavieになったnecの個人向けマシン。 大型デスクトップでもこの限りではなく、今回の新製品にもlavieGXなる愛称が与えられています。

 ところで本機(の上位モデル)では、cinebenchR23で全コア負荷を加えると12,495点だったというレポートがあります。 i7-12700のtccActivationTemp(tjmax)は0x64[100度]だと思うので、70度でキャップされるならスロットリング発動温度が30度も人為的にオフセットされていることになり、「高負荷時の排熱処理が不足」といった説明は正しくありません。 『そういったチューニング』的な可能性は一応あります。

 しかし筆者の経験する限り、プロセッサの持つtjmaxから30度もオフセットして性能をキャップするシステムというのは見たことがありません。 「tjmaxマイナス15度になるとファンが全開」的なチューンの個体なら使っていたこともありますが、30度のマージンを誇る状態で頭打ちさせているとは考えにくいのです。 

 そうなると、まず考えられるのはlongDurationPowerLimitが低めに設定されている可能性。 一応i7-12700では65Wに耐えるマシンの造りをしていればintel的には御の字、一方65Wを超えるどこかに設定されている個体も許容されるようです。 lavieGXの設定値は自作用の部品に比べれば低そうにも思えますが、これが原因でcinebenchの値が沈むのでしょうか。 もっと深刻な理由が眠っているのでしょうか。

 → https://www.techspot.com/review/2426-intel-b660-motherboards/

 ▲手がかりは安価なマザーボードの比較記事にありました。 各社より出ているb660板には、12700を載せた際の電力制限がデフォルト65wに設定されるモデルが一部存在します。 ここではcb23の数値も載っているのですが、asrockのベーシックマザーが(65wで)12,924点を出しているのに比べ、一方msiの個体は15,379点をマークしています。 つまり65wの枠を使いきれば当該ベンチで15k程度が出せるという話になり、前述のasrock板はローコストVRMを保護するため自主的に性能をキャップしている(せざるを得ない)状況を当該サイトでは暗に示しています.. lavieGXも同様なのではないでしょうか。

突然ですがまとめます:

 [1] 活動限界温度が100度の石を採用し、70度で性能にフタをしているとは考えにくい

 [2] i7-12700/電力上限65wにて、想定されるcb23のスコアは15,000点前後

 [3] lavieGXは低価格マザー同様、vrm周りのスペックに難があり、65w設定時でさえcpu性能を引き出しきれない (※推定)

 ▲推定は推定にすぎません。 一方こんな推定が当たっているとすれば、当該マシンの想定寿命まわりへの悪影響は十分に予想できるため、長く使う視点で見るなら多少の疑問符がついて回るのではと考えます。 なにより下位モデル(12400F)でも同様の限界に届いてしまう可能性が高い点は深刻でしょう。

 impress自体は日本の大手なので提灯サイトかもしれませんが、非提灯視点で当該レビューを見た人がどのような印象を持つのか筆者的には興味あります..

Microsoft RediculliMouseExploder / 中クリック遅延

 ..(2016年ごろに没とした原稿まんまです)

 ずっと気になっていたので、ここに書きます。

 ここ数年ほど?のMSマウスには、「中クリック遅延」とかいわれる仕様があります。 そこそこ影響力のある日本語サイトがComfortMouse6000を紹介するときに「遅延」と表現したので、わりかし「遅延」と呼ばれます。 しかし。。

 筆者が手持ちのWirelessMobile3500/4000で実験した結果をここに書きます。 あゆぽっぽ本人はとっくにLogitech(/Logicool)党へ出向してしまい帰らぬ人となったのですが、数年たっても「意味わかんない遅延」としか世間じゃ認識されていないので..こっそり書いておきます。

 [前準備] Logitech等、'遅延'しないブランドで意図通りの動きになる環境(ソフトウェア)を用意する。
 [前準備] もちろん疑わしいMSマウス群も用意する。
 [実験a]  マウスを動かさず、その場で中クリック単発 → 0.5秒くらい?遅れて「中クリック」と反応
 [実験b]  マウスを動かさず、その場で中クリック連打 → 連打した回数ではなく、間欠的に反応したりしなかったり
 [実験c]  マウスを動かさず、その場で「中→右」と高速連打 → '中'は見なかったことにされ、必ず右クリックとして反応する
 [実験d]  マウスをぎゅんぎゅん動かしながら中クリック →中クリックはキャンセルされる
 [実験b'] マウスを動かさず、その場で左クリック連打 → 連打した回数分即時反応

 ↑ここではLogitechマウスを使うかぎり、中クリック連打が押した回数分'効く'ソフトを選んでいます。 それにもかかわらずmobile3500では中クリック連打を取りこぼしたり、ポインタ高速移動時は中クリックがキャンセルされます。 一方マウスが静止しているかぎり、単発の中クリックは(一呼吸おくれた後)確実に効いてくれるのです。

 しかも左右クリックでは一呼吸も置かない+押した回数分ちゃっかり反応していることから、無線式やファームの造りが原因で「遅れている」とは思えません。 単なる遅延であれば「中クリック連打」も回数分だけ処理してくれそうなものですが、実際は「いくつか」取りこぼします。 いくつか。

 なのであゆぽっぽは、経験則だけで.. こんな説を提唱してみます:

 ・MS製'中クリック遅延'マウスは、「押しこんだホイールから指が離された」直後、一定時間「別の操作」をしなければ中クリックとして処理する。
 ・「別の操作」には、続けて放たれた中クリック自身も含まれる。
 ・「別の操作」には、(ある程度速い)マウスの移動も含まれる。
 ・左右クリックでは一切この現象が発生しないため、そのような'実装'である。
 ・3500/4000双方でこれが起こることから、コリコリ/ヌルヌルホイールにかかわらず実装されている(ノッチレス式への対策には見えない)
 ・また「Comfort」でなくても実装のリスクを持つ。

 どうでしょうか。 筆者はこれで、wirelessMobile6000をあきらめました。

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 いまでも気になっているのは、もっと超低価格なMS製マウスでもこんな仕様なのかどうか..でございます。

Dragon Slayer The Legend Of Heroes

 ドラゴンスレイヤー英雄伝説です。 楽なドラクエみたいなゲームです。 いまや「英雄伝説」そのものがブランド化し、F社のIPとして受けつがれています。

 筆者はこの作品が好きでした。 好きなのですが続編[英雄伝説2]を遊んだことがありません。 eggあたりで楽に?試そうと思ったのですが、あいまいになっている初代の記憶を呼び返さないことには続編もあったものじゃありません。

 このゲームはディスクプロテクトがきつく、助けにこないリュナン症候群を回避しても海賊本部に入れずエンディングまで行くのは楽じゃありません[※nec98版]。 当時の筆者には全チェックを解除することができず、そういった記憶からegg版を使うのがベストと考えました。 eggにはnec88/nec98/msx版が並んでおり、データロード時の演出が音とシンクロしている88版を選ぶことにしました。

 手元ガイドとしてはflora.main.jpのお世話になると決めました。 なぜなら「サクタス5」で雑にネットを引いたら出てきたからです。 オビス4ならプレーヤーが全力で回避しなければ進めない仕様になっている(※王家装備が残っていれば倒せます)ため、どれだけ雑なコピペ攻略サイトでも言及されており決め手になりません。 しかし筆者はnec98版英雄伝説1を遊んでいて「サクタス5」「ホー4」に驚き、当時のリアル友達に電話をかけるほどの衝撃を受けたことから、こういったエネミープレミア魔法をプレイ経験の証?みたく考えているフシがあります。

 ゲームを始める前(セリオスを動かす前)に判る88版の特徴として:

  ・ ディスクコピーBGMがループしないで終わる
  ・ ロードスタート時に文字が入る

 ▲少なくともこの2点があります。 ユーザーディスク終了チャイムはmkIISRだと遅く、FAなら少し早くなりますがサントラ盤と比べて違和感のない範囲に収まっています。 nec98版では3-8on/offの違いだけで終了タイミングが大幅に変わってしまい、ファルコム側もあきらめたらしくbgmそのものがループ仕様に書きかわっています..

 ゲーム中に判る88版の特徴として:

  ・ 成長する宝箱?は成長しない
  ・ グラディウス, 目玉のついた靴, ハイパー660/2000などは存在しない

 ▲少なくともこの2点があります。 「防御力が一番低いリュナンめがけて振り下ろした」なるメッセージさえ出てこないので、グラディウスそのものがデータにない?のでしょう。 ハイパーアイテムが出てこないのは筆者的に誤算で、低hp振りを前提にした遊び方では98版以降のほうが向いていそうです。 実際のところレス5がオーバースペックになるようなステータスでもエンディングへ行けるので、ゲーム全体の難易度を左右するほどの違いじゃありません。

 ..というより本作はプレーヤーを困らせないことを最も主眼に置いています。 どこでもセーブポイント、エネミーのhpは常時表示、エネミーは無限のmpを持たない、戦闘はその場でやり直し可能、勝ってしまっても戦闘直前に巻き戻し可能、階層メニューを飛ばしてファンクションキーでショートカット可能、どこまでもノンストレスですね。

 nec88(/98)版だと、リュナンと引きかえに王家装備を持ちこすことができます。 すばやさに大きく振っておけば2章アクダムに先制はできるものの、88版だとアクダム側のhpがゼロになる(とダメージ値が算出された)物理攻撃は絶対に当たらない仕様があるらしく、さいごの一撃は魔法を使う必要がありそうです。 筆者はローと二人で、「セリオス先制→アクダムのhp半分未満→アクダム回復行動(根)セリオス会心→ローがフラム3」として倒しました。 クリティカルヒットに期待した戦略なので運にも振る必要があります。 なお2章アクダムに設定されている経験値はゼロらしく、勝とうと思えば勝てるだけでメリットはなさそうです。。

 王家シリーズは4章での上位装備に相当します。 5章まで行けばお役ごめんになりますが、ゲイルの一人道場を終わらせればリュナンが(Lv.3のまま)戻ってくるので、快適度収支とんとん?ではないでしょうか。 王家持ちこしを使う最終的なデメリットとしては、「捨てられない装備が三点どうぐぶくろに残る」ところでしょう。 この王家exploitを使うにはesc(shift)メニューの連打が必要なので、筆者は手元にあったホリのrapを使いました..

 プロットとしては人類の繁栄をストップさせるべく生まれた?存在を倒しにいく展開です。 オープニングにビジュアルとして表示されるディーナは本人の意思にかかわらずプレーヤーの婚約者とされている存在で、ずいぶんな扱いですが劇中でも「顔も知らないのに許嫁」だと言及されます。 そんな設定にもかかわらず、プレーヤーベースのwikiサイトでは『婚約者に対する態度がどうたら』などといった不満さえ表明する書きこみが残っており、開発陣に比べユーザーベースのほうが男女観のレベルで壊れていることもわかります。 なお本作の数年後に発売されたDQ5では、ろくな情報も時間もなく主人公が結婚相手を一方的に選ぶプロットが採用されており、こちらは開発陣・監修組の感覚も疑ってしまいたくなりますね。 さきのファーゲスタ研究所にはそういった不快要素もなく、筆者としては(続編も含め)リファレンスにしていこうと考えています。